米娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーとフロリダ州のロン・デサンティス知事の対立劇は、共和党と大企業の間に広がる溝を浮かび上がらせた出来事と言えそうだ。かつて蜜月関係にあった共和党と大企業は、貿易など経済問題や移民・エネルギー政策を巡って対立するようになった。最近では、人工妊娠中絶に関する法律や人種問題、LGBT(性的少数者)の権利、投票権の法律が文化、政治的な火種となって双方を分断する場面が増えている。ディズニーの対立劇はこの争いを如実に体現している。フロリダ州の主要雇用主である同社は当初、賛否が分かれるデサンティス氏の「教育における親の権利」法を巡る議論とは距離を置いていた。これは通称「ドント・セイ・ゲイ(ゲイと呼ばないで)法」と呼ばれ、小学3年生まで、性自認や性的指向に関して学校内での指導を禁じるものだ。