ロシア現地の製造業は
まともな生産ができなくなっている

 日本からロシアへの輸出額データにおいて、けたが一つ違う品目があり、前ページのグラフに含めなかった。「機械類及び輸送用機器」だ。その比較は下図のとおりだ。

図表:2021年3月と2022年3月の対露輸出額の比較(機械類)※貿易統計から著者作成。単位:1000円 拡大画像表示

 さらに「機械類及び輸送用機器」の内訳を見てみよう。絶対額ではなく、減少率でグラフを作成した。下に伸びるほど減少率が大きいことを示している。

図表:減少率※貿易統計から著者作成 拡大画像表示

 減少率90%台のものを書き出してみる。

・半導体等電子部品▲99%
・電池▲97%
・事務用機器▲96%
・電球類▲95%
・金属加工機械▲92%
・絶縁電線及び絶縁ケーブル▲91%
・映像機器▲90%

 いずれも異常な減少率だ。日本を含む諸外国による経済制裁により、ロシア現地の製造業はまともな生産ができなくなっていると報じられている。もちろん、日本製品や代替品を、中国をはじめとしたロシアと貿易を継続する国経由で購入する可能性はある。しかし絶対量の確保は難しいのではないか。

 実際、日本郵船がロシアの自動車陸送事業から撤退すると報じられた。ロシアで自動車生産が滞り、陸送事業が成立しなくなったからだ。

 ロシアは戦争を継続しても戦車や戦闘機、船、ミサイル、ヘリコプター、その他の兵器が在庫切れを起こすだろうと報じられている。加えて、民生品の電気機器や自動車、機械類にいたるまで、諸外国からコンポーネンツが入手できない状況も、だ。

 ロシア政府は戦争開始以降、輸出入の月度データを開示していない。しかし、経済制裁の状況からも、かなりの苦境に陥ることは想像に難くない。通常は在庫を有しているから、すぐさま影響が出るわけではないにしても、じわりじわりと首を絞め上げられるだろう。

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