ウクライナ戦争による
サプライチェーン混乱に学ぶ、教訓
さて、本稿の主題に戻ろう。ウクライナ戦争によるサプライチェーン混乱に学ぶ、教訓はなんだろうか。筆者が考えるに、企業のサプライチェーンは、「価値観共通国家」と強固なものにしなければならないという教訓だ。ざっくり言えば、西側と東側であり、言葉を換えれば、民主主義国家と専制国家ということだ。
一度、自社に組み込んでしまった部材が問題を引き起こすと、なかなか代替はできない。グローバル化の進む現代において、完全に民主主義国家内だけでサプライチェーンを構築することは難しい。現場の事例で挙げたように、理想と現実は違う。
しかしながら、経済安全保障がこれだけ重要視され、政治の影響がビジネスに直結する時代である。企業は常に、代替と分散を図るしかない。とにかく重要部材だけでも、価値観共通国家あるいは自国内からの調達を検討すべきだ。
サプライチェーンの常識は変化している。かつて調達網を模索するとき、他国の労働力の安さを選定基準とした。その選定基準が次に、技術力となった。さらに人権順守やSDGsも重視されるようになった。そうして今、調達国と供給国の価値観にまで踏み込まざるを得なくなっている。
サプライチェーンに地政学が必須となった。世界が「冷戦2.0」時代に突入したのと同時に、「サプライチェーン2.0」が始まったのである。
(未来調達研究所 経営コンサルタント 坂口孝則)



