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日立製作所の家電事業を、量販店のノジマが買収する。メーカーの力が弱くなる一方で、小売店が絶対的な販売データを基に立場を逆転するのは必然だったと思う。ノジマは野心的で、売上高3兆円を目標とする。日本企業同士がタッグを組むことで、製販一体の垂直統合は成功するのか。日本の消費者に支持され、中国や韓国勢に勝てる余地が生まれるのだろうか。(未来調達研究所 坂口孝則)
家電の機能インフレは「考えすぎ」の最たる例
そこにユーザーのニーズはあったのか?
ある朝の情報番組で2年以上、テレビ番組プロデューサーのテリー伊藤さんとご一緒していたことがある。私は学生時代からテリーさんの作る番組のファンだった。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』では「高校生ダンス甲子園」をはじめ斬新で面白い企画ばかりだった。「高校生お笑い甲子園」も最高だった。
テリーさんに当時の話を聞くと、次から次へと新企画を出すのは苦難の連続だったという。会議を重ねて、なんとか毎回アイデアを絞り出す。あるとき「そうだ、野球好きな高校生を集めて競わせるのはどうだ!?」と誰かがひらめいた。すぐに、「そりゃ本家の甲子園だろ!」とツッコミが入ったとか。つまり考えすぎるとズレた思考になってしまう。
家電の機能インフレは、「考えすぎ」の最たる例だ。日本の家電メーカーは、ちょっとした機能を増やすことでしか商品を企画しないという。要するに、使わないボタンばかりが増えていく。そこにユーザーのニーズがあるかは別で、宣伝広告のために機能を増やし続けているというのだ。
一方で、主にアジアの新興メーカーが安価な家電で対抗してくる。コスト以外の付加価値と品質を日本メーカーは前面に出してきたが、それは消費者に受け入れてもらえるほどではなかった。
むしろ消費者と近い位置にいて、しっかりと消費者の嗜好を把握しているのは、家電量販店の店員たちだった。だからメーカーの力が弱くなる一方で、小売店が絶対的な販売データを基に立場を逆転するのは必然だったと思う。







