「値上げを認めるのが当たり前」
「いかに物量を確保するか」が主眼に
最終商品が値上げしたニュースが相次いでいる。食糧とエネルギーに起因にするインフレが多く、それらを除いた物価上昇は、さほど見られない。つまり、海外からの輸入品ゆえの影響が大きい。
例えば小麦は、大半を海外からの輸入に頼っている。小麦は毎年、4月と10月に政府が企業への売り渡し価格を決める。21年10月は前年同期に比べて19%の引き上げ、22年4月も同様に17.3%の引き上げがあった。ウクライナ戦争に加えて、アメリカとカナダでの不作も重なった。
値上げには、各社の在庫が切れるまでのタイムラグがある。だから、価格改定時期プラス2~3カ月くらいが、値上げの時期になる。今後も値上げが続く可能性は高い。
重要なのは、最終商品だけでなく、企業間取引の物価も急上昇していることだ。日銀が発表した3月の国内企業物価指数は、前年同月に比べて9.5%上昇し、39年3カ月ぶりの高水準を記録した。
筆者は長年、サプライチェーンのコンサルティングを手掛けている。かつては「いかに値上げを抑える交渉をするか」が話題の中心だった。それがこのところ、「値上げを認めるのが当たり前」「いかに物量を確保するか」が主眼となっている。
例えば、売上高100億円、外部調達費30億円、営業利益5億円の企業があったとする。外部調達費が10%アップの33億円になれば、単純計算で営業利益の60%が吹っ飛び、2億円になる(製品価格に転嫁できない場合)。これは企業経営にとって、とんでもなく大きなインパクトだ。
次ページからは、39年3カ月ぶりの高水準を記録した国内企業物価指数の「中身」を詳しく見てみよう。どんな品目の物価がどれくらい上昇しているのか、データをグラフ化し、上昇率の高い順から並び替えたランキングにしてみると、一目瞭然で分析できた。