倉庫写真はイメージです Photo:PIXTA

ロシアと直接的に関わっていない企業も
サプライチェーンへの影響は確実にある

 ロシアがウクライナを侵攻して1週間以上が経過した。ロシアはプーチン大統領の独裁国家のようにさえ見えるが、経済面では北朝鮮と違い、資源を諸外国に販売し、代わりに電気製品などを購入している。ある意味わかりやすい構造だ。北朝鮮とは違い、グローバルなサプライチェーンにおける存在感は大きい。

 3月8日現在、ウクライナでは経済活動が止まっており、ロシアに対しては各国からの広範囲な経済制裁が下っている。ロシアの恐怖政治と非人道的な手段を世界中が目撃したため、長期的に見てもロシアは世界経済から孤立していくに違いない。

 企業はサプライチェーンに関して、ロシアの代替を探したり、ロシアに依存しない耐性を付けたりするしかない。ただ、それは簡単なことではない。

 世界経済はこの2年強、新型コロナウイルスの混乱があり、人手不足や工場閉鎖が相次いだ後、一部のモノやサービスの需要が急騰した。次に原油と食料を中心とした物価上昇局面が訪れた。物流の停滞が解消されない状況で、今度はウクライナ戦争が勃発した。グローバルなサプライチェーンは混迷を極めたと言っても過言ではない。

 筆者はサプライチェーンのコンサルティングをしている。ウクライナ情勢の緊迫化を受けてから、ずっと各企業の担当者と情報交換を重ねている。既報の通り、日本たばこ産業や住友電気工業のウクライナ工場は稼働停止となった。トヨタ自動車のロシア工場も、部品入手が滞るなどの理由で稼働停止を決めた。

 ロシアやウクライナと直接的なビジネスを行っている場合は、影響がわかりやすい。一方、間接的に関わっている場合はわかりにくい。しかしながらその影響は確実にあるはずだ。多くの日本企業は目下、取引先を通じて情報収集に努めている。

 次ページからは、現時点で影響が明らかになっている事象のうち、筆者が注目する二大事象を解説する。