米連邦準備制度理事会(FRB)の仕事は大変だと思うだろうか。少なくともFRBはインフレとの闘いに専念できる。日銀と欧州中央銀行(ECB)は物価高だけでなく市場とも格闘している。それが非常に奇妙で矛盾もはらむ政策につながっている。3行が抱える問題が意味しているのは、確率こそ低いが実現した場合の影響は甚大で、物価の急変につながるリスクに投資家は備えるべき、ということだ。中央銀行が図らずも政策の逆回転を本格化させる時は、注意が必要だ。そうしたリスクを具体的に考えてみよう。FRBがインフレを食い止められなかったのは、「データ次第」で決定するという政策の一環により、過去を見つけることに長々と時間を費やした結果、金利をあまりにも長く極端な低水準に抑えてしまったからだ。FRBはデータ次第という方針に固執することで、反対方向の過ちを繰り返する恐れがある。次のリセッション(景気後退)を招き、180度の方針転換を迫られる可能性が高まっているのだ。市場は景気後退や業績悪化をようやく織り込み始めたところなので、これは痛手となる。
マネー創造主の中銀、市場の大きな脅威に
中央銀行が図らずも政策の逆回転を本格化させる時は注意が必要
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