キーエンスPhoto:SOPA Images/gettyimages

コロナ禍だけでなく、円安や資材高の影響も相まって、多くの業界や企業のビジネスは混乱状態にある。その状況下でも、苦境を打破できた企業とそうでない企業との間で勝敗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はキーエンス、ファナックなどの「製造用機器・システム」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

ファナックが過去最高の四半期売上高
キーエンスも2桁増収の一方で…

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の製造用機器・システム業界5社。対象期間は2022年2~6月の直近四半期(安川電機は22年3~5月期、その他4社は22年4~6月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・キーエンス
 増収率:13.0%(四半期の売上高1920億円)
・ファナック
 増収率:14.2%(四半期の売上高2116億円)
・マキタ
 増収率:5.4%(四半期の売上収益1953億円)
・ダイフク
 増収率:8.3%(四半期の売上高1302億円)
・安川電機
 増収率:1.1%(四半期の売上収益1203億円)

※キーエンスは収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、当社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適用していない。

 製造用機器・システム業界5社は全て前年同期比で増収となった。

 中でも、ファナックは四半期単位で過去最高の売上高をたたき出すなど絶好調だ。また、キーエンスは四半期増収率が直前の22年1~3月期(前年同期比30.1%増)から減少したものの、2桁増収を死守した。

 一方、残る3社の中には、かつて2桁増収を連発していたにもかかわらず、成長が鈍化した企業が存在する。

 前四半期の記事では、各社の増収率の時系列推移を分析し、キーエンスよりも長期間にわたって2桁増収を続けている企業を紹介した(『「キーエンス超え」の7四半期連続2ケタ増収を果たした高収益メーカーとは?』参照)。

 ここでは企業名を明かさないが、今回は当該企業の「連続2桁増収記録」は途絶えてしまった。

 その企業とはどこか。また、増収率が減少した要因は何だったのか。次ページ以降で詳しく解説する。