衝撃を覚悟しておかねばならない。米国は石油ショックが起きたときのための緩衝材を失いつつある。米エネルギー情報局は21日、米国の戦略石油備蓄(SPR)が16日までの1週間におよそ700万バレル減少したと発表した。これによって備蓄量は1984年以来最も低い約4億2700万バレルとなった。SPRに貯蔵されている石油の量は1983年以来初めて、民間の貯蔵量を下回っている。米国は今年、急ピッチで備蓄を放出している。エネルギー省は19日、バイデン大統領が3月31日に最大1億8000万バレルの放出を承認して以降、約1億5500万バレルの原油を放出したと発表した。これは1日当たりの放出量が90万バレル弱に上るということを示している。世界の石油需要のほぼ1%に相当する量だ。エネルギー省は同日、11月にSPRから最大1000万バレルを売却すると発表し、10月までの予定だった放出期限を延長した。そうなると、緊急承認で売却できる量は約1500万バレルしか残らない。
米国の石油備蓄急減、危機への備え失う
米国の戦略石油備蓄が歴史的な低水準にある一方で、供給にはさまざまな不確実要素が残っている
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