ベイリー総裁Photo:WPA Pool/gettyimages

【ロンドン】イングランド銀行(英中央銀行)は12日、金融市場の安定化に向けた緊急措置として再開した国債買い入れを予定通り14日に打ち切ると言明した。中銀の最後通告は国債の急落を招くなど英金融市場全体を再び揺らしており、期限までの向こう数日は緊迫したムードが続きそうだ。

 今回の発表については、たとえ英金融市場の混乱が深まるリスクを高めることになってもインフレ退治を優先するという、アンドリュー・ベイリー英中銀総裁らの決意を表していると受け止められている。英国を「震源地」とする市場の動揺は、ジャンク級債(投資不適格級債)など米国市場の一角にも飛び火している。

 そもそも市場に衝撃が走った発端は、英新政権が公表した大型減税案だ。市場ではインフレ高進や公的債務急増への警戒が一気に高まり、政府発表から数日後にあたる9月28日、英中銀は国債買い入れに踏み切った。背景には、国債を担保とするデリバティブを保有していた年金基金が英国債価格の急落で不意を突かれ、資産の投げ売りを迫られたことがある。それがさらに国債価格を下押し、売りが売りを呼ぶ悪循環に陥った。