――筆者のジェームズ・マッキントッシュはWSJ市場担当シニアコラムニスト
***
イングランド銀行(英中央銀行)は今、中央銀行にとって最大とも言える難題に取り組んでいる。金融緩和と引き締めの同時進行は果たして可能なのか?
英中銀は11日、機能不全に陥っている国債市場に再び介入することを余儀なくされ、1日当たり最大50億ポンド(約8100億円)のインフレ連動債を購入すると発表した。普通国債の買い入れ枠を拡大してわずか24時間後のことだ。11日午前の取引で、インフレ連動債の価格は小幅上昇したが、10日の急落分を取り戻すことすらできなかった。
英中銀は介入について、金融安定が目的であり、金融政策ではないとの主張を貫いている。とはいえ、その境界線は微妙で、金融システムの不安定さは金融政策に影響を及ぼす。英国では3週間前、想定外の減税策(一部はその後撤回)によって債券市場が混乱したことで、英中銀が金融引き締めに向けて計画していた証券売却の先送りに追い込まれた。11日には、先月開始したばかりの社債売却も遅らせている。これも金融政策で予定していたことだ。