おひとりさまの老後には、現役時代には見えにくい落とし穴がある! それも踏まえた、お金&老後対策は必須です。男性の3.5人に1人、女性は5.6人に1人が生涯未婚と、独身者は急増中ですが、税金や社会保険などの制度は結婚して子どもがいる人を中心に設計されており、知らずにいると独身者は損をする可能性も。独身者と家族持ちとでは、本来お金についても老後対策についても「気を付けるべきポイント」が違います。独身者がひとりで楽しく自由に生きていくためにやっておくといい50のことを税理士の板倉京氏が著した「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、一部を抜粋して紹介します。
普通預金に置きっぱなしはすぐにやめよう
「将来のために頑張って貯金しよう!」と思っても、人間とは弱いもので、そこにお金があると、ついつい使ってしまいます。そんな意思の弱い人は、いつでもお金が引き出せる普通預金にお金を置きっぱなしにするのはやめましょう。無駄遣いを防ぎ「無理なくお金を貯める」には銀行の使い方にもコツがあります。
それは、「3つの口座を使い分ける」こと。
3つの口座とは①メインの口座 ②積み立てる口座 ③増やすための口座 です。
①メインの口座
生活費の出し入れをするための「普通預金」の口座です。お給料の受け取り、クレジットカードや家賃や水道光熱費などの固定費の引き落とし、現金で使う分を引き出す、など毎月のお金の出し入れはすべてこの口座で行います。
会社でお給料の振り込み銀行が指定されている場合もあるかもしれませんが、自分で選ぶことができるのであれば、メイン口座は「手数料が安い」銀行がおすすめ。
「普通預金」の金利は、都市銀行では0・001%! 100万円預けても一年間の利息はたった10円です。これでは、1回のATM手数料の方が高くついてしまいます。
手数料の安さを重視するなら、新生銀行やソニー銀行など手数料の安いネット銀行がおすすめ。ネット銀行は、基本、自前のATMを持たないところが多く、コンビニのATMを利用することになりますが、実はコンビニごとにATM利用手数料が違うことがあります。どこのATMが何回まで手数料無料なのか、振込手数料なども確認し、自分の使い勝手のよいところを選ぶといいでしょう。
また、給与振り込み口座指定や預金残高に応じて手数料を安くするといったサービスがある場合でも、エントリーが必要なものがあるので、それも忘れずに。最近では、マイナス金利の影響などで、各銀行のサービスが変更になることも多いので銀行のホームページやメルマガなどで最新情報は常にチェックしておきたいところです。
②積み立てる口座
①のメイン口座は普通預金口座ですが、「普通預金」だけでお金を管理していると、「いつでも引き出せる」上に「金利が低い」ので、お金を貯めるのは難しいもの。
最強の貯金方法は「むりやり貯金」です。「お金が余ったら、貯金しよう」というよりも「毎月3万円積み立てる!」と決めて、最初にその分を分けて積み立て、余ったお金で生活するようにしていけば、確実に貯蓄を増やすことができます。
そこでおすすめなのが、毎月定額を給与から自動で積み立てる「自動積立預金」。自動積立サービスがある銀行は、住信SBIネット銀行・ソニー銀行・auじぶん銀行・イオン銀行などです。できれば金利の高い銀行を選びたいところです。ネットで「銀行 金利 比較」などと検索すれば、最新の金利を確認することができます。
金額は無理のない範囲ではじめて、余裕があれば増やしていくというのでもよいので、まずはスタートすることが大事。知らないうちにお金が増えていくのは、なかなか楽しいものです。この口座の目的は、もちろん「貯める」ことですが、急な病気や引っ越しなどイレギュラーな出費に備えるという目的もあります。
③増やすための口座
②の自動積立預金は、毎月無理矢理お金を貯めることはできますが、簡単にお金を引き出せてしまうため、貯めたお金を全額この口座に入れたままでは「結局そこからお金を引き出して使ってしまった」という悲劇も起こりえます。
そんな事態を防ぐために、②の口座から一定額は「増やす口座」に移しておきましょう。
おすすめは、楽天銀行や住信SBIネット銀行など、ネットの証券会社と連携している銀行です。
楽天銀行は、普通預金の金利も0・02%と都市銀行の20倍! とはいえ、100万円預けても年間利息200円ですから、増やすためには「金利の高い定期預金にいれる」「外貨預金をする」「証券口座と連携して資産運用をする」というように、徐々に資産運用にもチャレンジしたほうがよいでしょう(資産運用の詳細は、第3章で紹介します)。
楽天銀行は、楽天カードを利用するとポイントがつくなど、様々な特典があって、利用している人も多い銀行です。楽天証券に口座を作れば、②で積み立てた口座から手数料無料で資金移動することもできますし(提携金融機関のネットバンキングの場合)、証券口座で投資信託などの資産運用を始めることもできます。
「3つも口座を管理するなんて面倒くさい」と思うかもしれませんが、1度セットしてしまえば、さほどのわずらわしさはありません。3つの口座はそれぞれ目的が違いますから、うまく使いこなしてお金が貯まる仕組みを作っていきましょう。
*本記事は、独身者向けのお金&老後対策を書いた、板倉京著「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、抜粋・編集して構成しています。