米国人がホリデーシーズンのショッピングを目当てに欧州各地の高級ブティックに押し寄せている。背景にあるのはドル高で、グッチやルイヴィトンなどのブランドが中国人観光客による「爆買い」の消えた穴を埋めるのに一役買っている。決済企業プラネットの付加価値税(VAT)還付データによると、ブラックフライデー(米感謝祭翌日の金曜日、今年は11月25日)の週の欧州での米国人観光客の支出は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の2019年の同時期から40%以上増えた。今年の欧州店舗での米国人観光客の平均支出額は1244ユーロ(約18万円)で、こちらも19年の500ユーロから大幅に増加している。ドルが20年ぶり高値となる1ドル=1ユーロ近辺で推移する中、欧州製が多い高級品は米国よりも、パリ(フランス)やミラノ(イタリア)などのほうが安い。バンク・オブ・アメリカの先月のアナリストリポートによると、高級衣料・小物の米国内の価格は欧州より平均で38%高い。これまでの価格差は約20%だった。