米国の科学者たちが世界で初めて、投入した量よりも多くのエネルギーを生成する制御された核融合反応に成功したという13日のニュースは、米国が衰退に向かっているという考えへの反論になる。しかし、政府が投資を増やしさえすれば、化石燃料を使わない世界の実現は近いという宣伝文句を信じてはいけない。科学者たちは何十年もかけて、太陽や星にエネルギーを与える核融合反応を実験室で再現する方法を研究してきた。今日の原発を動かしている核分裂反応では、原子の分裂の結果、放射性廃棄物が生まれる。核融合は、原子を融合させることで、理論的には有害な廃棄物を排出せずに、クリーンなエネルギーを豊富に生み出せる可能性がある。核融合のために投入する水素は、宇宙で最も豊富な元素であり、リチウムイオン電池や風力タービンに使われる一部の鉱物と違って、その供給を独占している国はない。核融合反応はまた、二酸化炭素(CO2)を発生しない。しかし、核融合反応を起こすために使われるよりも多くのエネルギーを生み出す方法を見つけることが長年の障害となっていた。