サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会のために、アミーヌ・ハヤテイさんはカサブランカから飛行機でやって来た。荷物はバックパックとモロッコ代表と同じデザインのジャージーだけ。母国の試合を一度だけ見て、24時間後には帰国する予定だった。それから10日たつが、モロッコ代表の大番狂わせが幾つか起き、ハヤテイさんはまだここにいる。「いま起きていることはクレイジーだ」と彼は話す。「モロッコが準決勝進出? まったく新しいレベルだ」モロッコ代表の夢のような快進撃に刺激され、何万人ものモロッコ人ファンが奇跡を目撃しようとドーハに集まっている。かつてアフリカ・アラブ諸国でここまで勝ち進んだ国はない。14日、モロッコは決勝進出を懸けて前回優勝国のフランスと対戦するため、かつてないほどの観戦チケット争奪戦が起きている。