投資家は欧州株を巡り、熟考すべき二つの相反するシグナルに直面している。景気が懸念されていたほど悪くないことと、欧州中央銀行(ECB)もそれを承知していることだ。今月16日に発表された12月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は4カ月ぶりの高水準となり、アナリスト予想を上回った。事業活動は6カ月連続で縮小したものの、縮小ペースは11月以降、緩やかになった。とりわけ重要なのは、工場がロシア産天然ガスに依存していたため特に不安定な状況にあったドイツが、指数の改善をけん引したことだ。ファクトセットが調査したエコノミスト予想の中央値によると、ユーロ圏経済は今年第4四半期に0.4%縮小し、来年第1四半期にはさらに0.3%縮小すると見込まれている。つまりユーロ圏はおそらく既に軽度の景気後退(リセッション)に入っているということだ。それでも12月のPMI速報値を見ると、景気の悪化はエコノミスト予想よりさらに軽度にとどまる可能性がありそうだ。先進国経済は密接に結びついているため、長期のリセッションが予想されている英国についても上振れの可能性さえある。
欧州株投資家が熟考すべき「相反するシグナル」
欧州経済は穏やかな景気後退にとどまる兆しを見せているが、ECBもそれを承知している
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