変わる女子御三家の勢力図

 ここからは図21日女子受験生について見ていきたい。

 男子難関校が開成への一極集中であるように、女子難関校は桜蔭のひとり勝ちといっていい状況にある。その背景にあるのは、女子上位層の圧倒的な医学部医学科志向である。東京女子御三家の出願者数を2020年と23年で比較すると、女子学院は98人減、雙葉は26人増、桜蔭は74人増となっている。

 鴎友学園女子は、コロナ禍で出願者数を増やした。1日の第1回は前年に届かなかったものの、3日の第2回は前年比8割まで来ており、2日までにどれだけ上積みするか。第一志望の受験者を増やすため、20年には603人が出願していた第3回入試をやめて、第1回に募集定員を振り分けた吉祥女子(第1回)は、その思惑どおり年々志願者数を増やしているが、23年も続伸している。早慶合格実績を伸ばした頌栄女子学院(第1回)は前年並みを維持している。

 大学の系列校では、女子の募集割合を少しずつ増やしている早稲田実業学校は、前年より微減となり、20年から毎年減少が続く。一方で、立教女学院は前年より大きく伸ばし、20年実績に並んでいる。立教大の系列は男子の付属校も好調で、堅調な香蘭女学校と合わせて、何とか踏ん張っているようだ。

 東京の共学難関校は、広尾学園渋谷教育学園渋谷(渋渋)の2校である。広尾学園(第1回)は、下げ止めとなった。姉妹校の広尾学園小石川の今年の出願者数は軟調ということもあり、広尾学園への回帰が見られるのかもしれない。前年の実倍率が4.6倍にもなった渋渋は、さすがに敬遠されているのか前年には届かなかった。

 次に横浜女子御三家を見てみよう。ここはフェリス女学院が圧倒的で、前年には届かなかったが、450人と神奈川の女子校では最も多くの志願者を集めている。偏差値的に並ぶのは洗足学園くらいであるものの、1日第1回の実倍率が3.5倍まで上昇したことで、敬遠する動きが見られる。

 1日の入試はいずれも偏差値60を割れているが、横浜雙葉はわずかとはいえ続伸している。とはいえ、実倍率は2倍に届かないだろうから、受けやすい。横浜共立学園はやはり1日A方式の偏差値が60を割れているため、図4に3日B方式を載せた。1日は前年比36人減の237人、3日は同59人減の384人で確定した。創立150周年を記念しての校舎建て替えも完了している。もっと学校の魅力をアピールした方が良さそうだ。

 1日午後には、共学校が人気の併願先として並んでいる。男子が同じ世田谷区内の東京都市大学付属に殺到するように、女子は東京農業大学第一(第1回)を目指すのが定例だが、今年は少し軟調気味のようである。

 女子の志願者の方が総じて多い広尾学園では、男子同様、第2回本科が軟調で、第2回ISG(インターナショナルコースSG)に志願者が大きくシフトしている様子がうかがえる。開智日本橋学園では、1日午後の特待生入試の人気が高い。前年大きく増えたこともあって、どこまでそれに迫るかという情勢だ。横浜市緑区にある神奈川大学附属(第1回)は、志願者数に隔年現象が見られるようで、今年は軟調である。