ロシアではウクライナ侵攻を巡り、軍幹部と民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏が公然と衝突する場面が増えており、内部対立が深刻化している。ワグネルは正規軍とは別に、独自の戦闘員を動員。数万人規模の囚人を勧誘するなどして、その規模は大きく膨らんだ。ウクライナ東部バフムト陥落を狙った戦いを主導して以降、ロシアの犠牲者の大半がワグネルの戦闘員だとされる。プリゴジン氏は、1月のバフムト北部の都市ソレダルや昨夏のセベロドネツクにおける勝利を自らの手柄にしようとするなど、戦場でのワグネル戦闘員の存在感を利用して、プーチン政権に対する影響力を高めることを狙ってきた。ところが、プリゴジン氏はここにきて蚊帳の外に置かれつつある。背景には、ロシアが戦闘態勢の見直しに着手していることがある。具体的には、ウクライナ侵攻を指揮してきた前司令官を交代させるとともに、プリゴジン氏による戦闘員の追加動員を制限している。