がんケトン食療法のキーワード、ケトン比とは何か？

「1日3食では、どうしても糖質オーバーになる」「やせるためには糖質制限が必要」…。しかし、本当にそうなのか？ 自己流の糖質制限でかえって健康を害する人が増えている。若くて健康体の人であれば、糖質を気にしすぎる必要はない。むしろ健康のためには適度な脂肪が必要であるなど、健康の新常識を提案する『ケトン食の名医が教える　糖質制限はやらなくていい』（萩原圭祐著、ダイヤモンド社）。同書から一部抜粋・加筆してお届けする本連載では、病気にならない、老けない、寿命を延ばす食事や生活習慣などについて、「ケトン食療法」の名医がわかりやすく解説する。

がんケトン食療法の中身とは

　ここで私たちが開発している、ケトン食について簡単に説明しておきましょう。
まず、ここでは「ケトン比」という指標を使います。

　ケトン比＝「脂質」：「たんぱく質」＋「炭水化物（糖質）」

　つまり、ケトン比とは、たんぱく質と炭水化物を足した量と、脂質の割合のことです。

　1910年頃、アメリカのワイルダー医師らが初期に開発したケトン食は、ケトン比が「3：1」～「4：1」でした。当時の食事は、脂質の割合がとても高いものでした。

　しかし、私たちが開発した方法は、最初の1週間は、ケトン比は2：1で、糖質は1日摂取量10g以下を目標とします。脂質は140g、たんぱく質は60gが目標です。

　そして、2週目～3か月目は、ケトン比1・5：1とし、糖質は20g以下としました。脂質は120～140g、たんぱく質は70gが目標です。

　そして、MCTオイルと、ケトンフォーミュラを適宜、使用します。

がん患者さんがエネルギー不足にならずに、
効率よくケトン体を誘導する方法

　3か月目以降は、ケトン比は1：1で、糖質摂取量は1日30g以下としています。すべての期間で、エネルギー量は、30 キロカロリー／kg× 標準体重 （kg）。

　わかりやすく書くと、体重50kgで1500キロカロリー、体重60kgで1800kcalになります。これは、体を維持するための十分なエネルギー量を確保したものです。

　つまり、私の開発したケトン食療法は、糖質を制限しながらも十分な脂質の摂取によって、がん患者さんがエネルギー不足にならずに、効率よくケトン体を誘導する方法なのです。