スイスの金融大手クレディ・スイス・グループと同業UBSグループとの緊急合併に伴い、クレディ・スイスが発行した劣後債の一種である「AT1債(その他ティア1債)」が無価値となった。金融機関によるAT1債の発行残高は2500億ドル(約33兆円)に上り、投資家の間で動揺が広がっている。スイス金融市場監督機構(FINMA)は19日、クレディ・スイスが発行した約160億スイスフラン(約2兆2600億円)のAT1債の価値をゼロにすると発表した。同社も発表文でFINMAから通知があったとし、AT1債が無価値に切り下げられると明らかにした。これを受け、20日の欧州とアジア市場ではAT1債の価格が下落(利回りは上昇)。香港市場では、英金融大手HSBCホールディングスのAT1債が大商いとなる中、8%安の額面1ドル当たり0.88ドルをつける場面もあった。AT1債と連動する上場投資信託(ETF)では、ロンドン市場で米投資会社インベスコが運用する約10億ドル規模のETFが同6.2%安、ウィズダムツリーのETFは3.5%安で取引を終えた。