ダイヤモンド決算報#私鉄Photo:PIXTA

新型コロナウイルス禍に円安、資源・原材料の高騰、半導体不足など、日本企業にいくつもの試練が今もなお襲いかかっている。その中で企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は京王電鉄、東急、京王電鉄、小田急電鉄などの私鉄5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

私鉄5社増収
近鉄は2.3倍超の大増収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の鉄道(私鉄)業界5社。対象期間は22年8~12月の直近の四半期(5社の対象期間はいずれも22年10~12月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・小田急電鉄
 増収率:13.7%(四半期の営業収益1057億円)
・京王電鉄
 増収率:15.6%(四半期の営業収益931億円)
・東急
 増収率:11.5%(四半期の営業収益2358億円)
・阪急阪神ホールディングス
 増収率:20.8%(四半期の営業収益2493億円)
・近鉄グループホールディングス
 増収率:127.8%(四半期の営業収益4946億円)

 行動制限がなくなり、鉄道需要も増えたことから、私鉄5社全てが増収となった。同じ鉄道業界では、JR東海、JR東日本、JR西日本のJR3社も鉄道事業(運輸業)において増収している(詳細は本連載『JR東海・東・西が増収増益も、JR東日本の増収率に大ブレーキがかかったワケ』参照)。ただ、各社好調の要因は鉄道需要だけではないようだ。

 さらに5社中4社が2桁増収だったが、近鉄グループホールディングスだけは2桁増収どころではなく、営業収益が2.3倍近くになる大幅増収となった。一体なぜか。

 次ページ以降では各社の増収率の推移を紹介するとともに、詳しく解説する。