モスクワ郊外にあるレフォルトボ刑務所では、金属が鳴り響く音で尋問が始まる。  元収容者やその家族、弁護士らによると、その広大な収容施設の数百の監房を巡回する看守は鍵束を鳴らし、収容者が監房から取調室に連れて行かれていることを知らせる。廊下で指をパチンと鳴らす看守もいる。他の囚人は姿を見せてはならず、職員もできる限りその場を離れるよう警告する合図だ。  取調室には木製のテーブル、数脚の椅子、灰色の金庫、壁掛けカレンダー以外ほぼ何もない。カレンダーは、ロシアの主要な国内情報・治安機関である連邦保安局(FSB)が制作したものだ。窓からは何もない中庭が見える。