米アップルにとってインドの戦略上の意味合いが変化している。かつてはサプライチェーン(供給網)における中国の影響力を抑える手段として見ていた同国を、新たな需要を掘り起こす成長拠点と捉えるようになっている。この二つの戦略は互いに補完し合っている。アップルは先週、今月オープンするインド初の直営店の外観を公開した。アップルにとって同国の重要性が増していることがうかがえる。インドではこれまで、主に再販業者やネット通販サイト、大型小売りチェーン店を通じて「iPhone(アイフォーン)」などを販売していた。実店舗の開設で販路を一段と拡大する。ティム・クック最高経営責任者(CEO)が2月、インドをアップルの集中拠点と呼び、同市場を重視していると発言したことを踏まえると、こうした動きは予想外ではない。2022年10-12月期は減収となったにもかかわらず、インドでのiPhone売上高は過去最高を記録したという(数字は公表せず)。