給与収入だけで老後資金をまかなえるのか不安に思う人が増えている。多くの人にとって「投資」が避けて通れない時代になってきた。資産を増やすという点で大きな選択肢の1つになるのが株式投資だ。「株投資をはじめたいけど、どうしたらいいのか?」。そんな方に参考になる書籍『株の投資大全ーー成長株をどう見極め、いつ買ったらいいのか』(小泉秀希著、ひふみ株式戦略部監修)が3月15日に発刊された。「ひふみ投信」の創始者、藤野英人氏率いる投資のプロ集団「ひふみ株式戦略部」が全面監修した初の本。株で資産をつくるためには、何をどうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。

【成長株の見つけ方】新業態と新成長株が次々と出てくる業界とは?Photo: Adobe Stock

株価数十倍の成長株が次々と出てくる
小売り・流通業界

 小売・流通業界にもこれまでさまざまな業態が生まれ、そのたびに成長株が出現してきました。

 日本で初めてコンビニという業態を始めたのがセブン-イレブンです。同社の株価は、最盛期に約200倍にも成長しました。2022年現在、セブン-イレブンはイトーヨーカドーと統合してセブン&アイ・ホールディングス(3382)になっていますが、国内の店舗数は2.1万店、全世界では7万店以上となり、さらに成長を続ける世界的な成長企業となっています。

 ユニクロを運営するファーストリテイリング(9983)は、1990年代の終わりに製造小売り(SPA)という業態を始めました。これは、商品の開発・製造・小売りを一気通貫で行うビジネスモデルです。このビジネスモデルで次々とヒット商品を生み出し、同社の株価は25年間で200倍以上に上昇しました。

 メガネのジンズホールディングス(3046)も、この製造小売りというビジネスモデルでメガネ業界に価格破壊を起こしました。安いだけではなく、豊富なデザインやカラーバリエーション、そして、新しい機能のメガネを開発するなどして成長し、12年間で株価200倍以上となりました。

 家具・ホームセンターのニトリホールディングス(9843)も家具を自社で企画し、海外で生産して国内で販売するという製造小売りのビジネスモデルで大きく成長。ニトリの株価は22年間で200倍近くになっています。

「業務スーパー」を運営する神戸物産(3038)は、農業や畜産業、加工業、小売業と第1次産業から第3次産業まで一気通貫で行うといういわゆる「第6次産業」のビジネスモデルで成長しました。独自開発のおいしくてボリュームたっぷりで安い食材を豊富に用意して、テレビ番組でもよく特集が組まれるなど、消費者にはおなじみの店の1つになりました。株価は170倍以上に成長しました。

 その他にも、プロローグで紹介したドン・キホーテを運営するPPIH(7532)、電器量販店のケーズデンキを運営するケーズホールディングス(8282)、作業服から女性向けファッションに展開してブームを起こしたワークマン(7564)、食品も扱うロードサイドの薬局で成長したコスモス薬品(3349)、アウトドアブームをけん引して成長中のスノーピーク(7816)など、さまざまなジャンルで新しい業態が生まれ、株価が数十倍以上になるような成長株が誕生し続けています。

小泉秀希(こいずみ・ひでき)
株式・金融ライター
東京大学卒業後、日興證券(現在のSMBC日興証券)などを経て、1999年より株式・金融ライターに。マネー雑誌『ダイヤモンドZAi』には創刊時から携わり、特集記事や「名投資家に学ぶ株の鉄則!」などの連載を長年担当。『たった7日で株とチャートの達人になる!』『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ザイが作った「株」入門』ほか、株式投資関連の書籍の執筆・編集を多数手がけ、その累計部数は100万部以上に。また、自らも個人投資家として熱心に投資に取り組んでいる。市民講座や社会人向けの株式投資講座などでの講演も多数。
ひふみ株式戦略部
投資信託ひふみシリーズのファンド運用を担うレオス・キャピタルワークスのメンバーにより構成された本書監修プロジェクトチーム。
ひふみ投信:https://hifumi.rheos.jp/