昨年の秋、米国民はインフレのことで頭がいっぱいだった。中間選挙でもそれが話題を独占した。ギャラップの世論調査では、回答者の5人に1人が国家の最も重要な問題はインフレだと答えていた。しかし、最近の関心の的は別の場所に移っている。ギャラップ調査の回答者のうち、インフレを最も重要な問題に挙げた人はわずか9%と、政府の指導力と「経済全般」を挙げた人の割合を下回り、移民と銃問題を挙げた人の割合をわずかに上回った。政府の債務上限引き上げを巡る争いでも、インフレはほとんど話題に上っていない。これは喜ばしいことなのか。恐らく違うだろう。国民がインフレ上昇に慣れてきたということかもしれず、そうであれば非常にまずい。国民がインフレの高止まりを見越した行動を取れば取るほど、高インフレが続く可能性が高まる。そうなれば、連邦準備制度理事会(FRB)は深刻なリセッション(景気後退)の誘発を覚悟でインフレ抑制措置を取るか、2%のインフレ目標をあきらめるかの選択を迫られることになる。