新興国株式に2年ぶりの追い風?米国株偏重から分散投資へ、投資家心理に変化の兆し【投資信託の最前線】

2026年4月の投資信託市場では、長らく続いた「米国株一強」の構図に変化の兆しが見え始めています。日本株の急騰に伴う利益確定売りが加速する一方で、にわかに注目を集めているのが「新興国株式」です。10カ月ぶりに資金流入超へと転じ、残高も過去最高水準に迫るなど、投資家のマネーは今、新たな成長機会を求めて動き出しています。本稿では、最新の資金フローデータを分析します。

日本株の利益確定売りが加速する一方
外国株式への投資意欲は依然として旺盛

 2026年4月の投資信託市場(ETFを除く追加型株式投信)への資金流入額は、月間で+1.3兆円と、3月の+2.4兆円から大きく減速しました。内訳をみると、4月に資産クラス別で最も資金を集めた「外国株式型」は、+1.2兆円と3月とほぼ同水準の資金流入額を記録。一方で、4月の日本株の急反発を受けて、「国内株式型」は3月の+6600億円から4月は-800億円と、利益確定売りにより資金流出に転じたことが特徴的な動きとなりました。

 同じく、金価格の戻り基調から「その他型」も3月の+2100億円から4月は+300億円に資金流入が減速しています。3月には米国とイランの紛争を受けて金融市場が急落したことで押し目買いが入りましたが、4月は相場の急反発を受けて投資家の利益確定売りの動きが強まったものと考えられます。

 ただし、「外国株式型」の資金流入の中身をみると、4月は「新興国株式型」が資金流入に転じるなど、「米国株式型」からの分散の動きがみられます。今回の記事では、「新興国株式型」投資信託の資金動向について詳しく見ていくことにしましょう。

10カ月ぶりに新興国株式型に資金が純流入
残高も過去最高水準に

「新興国株式型」の残高は、ここ2年ほど5兆~6兆円程度を維持してきました。しかし、4月の残高は6.1兆円と2月に記録した最高水準に迫っています。また、4月の資金フローは+900億円程度と10カ月ぶりにプラスに転じ、2024年7月以来の高水準となっています。

 資金流入の大きな要因としては、4月に新規設定された新興国株式型で大型設定の投資信託があったことがあげられます。ただ、それ以外にも、足元の新興国株式の成績を見直す動きから、資金流入を記録する新興国株式型投資信託が目立ってきているようです。

資金流入の背景は新興国株のテクノロジー関連の好調
投資家の視線が先進国株から新興国株に移行へ

 新興国株式型は、単一国に投資するもの、アジアや欧州といった地域の新興国に特化したもの、そして幅広く新興国株に投資するものなどがあります。これまではインド株を中心に単一国に投資する投資信託の人気が目立ちました。実際に、2023年~2024年にかけて資金流入が加速した時期は、インド株型投資信託の人気が圧倒的でした。

 しかし、2025年9月頃からは新興国のテクノロジー関連株を中心に先進国を上回る成績を記録。年初来で見ると、先進国株と新興国株の成績の差はかなり開いていることが確認できます。

 公募投資信託の残高が200兆円に迫る中で、新興国株式への資産配分は依然として限定的なものにとどまっています。しかし、米国を中心とした先進国株式から投資家の関心が移りつつあるものと思われます

藤原延介さん藤原延介(ふじわら・のぶゆき)●1998年三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。マーケティング部 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応大学経済学部卒。
◆投資信託の最前線
20年超にわたって投資信託動向を分析してきた藤原延介氏が、投資信託の最新動向やニュースを取り上げて、わかりやすく解説! 2024年から大幅拡大したNISAでは、投資信託での運用が不可欠に。でも「どうやって選べばいいの?」「組み合わせ方法は?」などわからない人も多いのでは? このコラムで投資信託の売れ筋やトレンドの変化をチェックすることで、投資信託の選び方や資産運用法などが見えてきます。
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<ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2025>
[2025年]受賞投資信託30本一覧

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本記事は2026年5月16日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。