ロシア西部のモルドビア共和国にあるIK-17刑務所では、毎朝スピーカーから響き渡るロシア国歌が、囚人らに強制労働キャンプでの新たな一日の始まりを告げる。ここは危険な作業や限られた栄養源、独房監禁などの懲罰で知られている。  看守や受刑者たちはIK-17を「ファッション・コロニー」と呼ぶが、それは主として来訪者に好印象を与えようと明るい色で塗装された外観のためだ。しかし現在服役中の米国人受刑者の証言によると、モスクワの東方約480キロに位置する流刑地のはるかに陰うつな実態が浮かび上がってくる。スパイや麻薬密輸などの罪に問われた外国人受刑者の多くがここに収容されている。