
中学受験の流行によって小学校低学年や中学年の頃から、塾や習い事でスケジュールを埋める子どもは多い。しかし、民間学童保育のパイオニア・島根太郎氏はその年代に必要なのは先取り学習ではないと説く。その理由とは?※本稿は、島根太郎『子どもの人生が変わる放課後時間の使い方』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。
社会で活躍する人と
高学歴な人の違いとは
私自身、KBC(編集部注/東京・神奈川で民間学童保育施設を運営する東急キッズベースキャンプ)を起業するまで何度かの転職を経て、さまざまな業種、業界で仕事をしてきました。
誰もが知る有名大学を卒業した人、国内外から人材が集まる外資系コンサルティング会社からヘッドハントされてきた人、若くして抜擢されて管理職となった人など、いわゆる頭のいい人たちとも一緒に働き、意外に思ったことがあります。
それはゼロからイチを発想して新たな企画、事業アイデアを創り出せる人、さまざまな背景を持つメンバーを巻き込み1つのチームとして動かせる人が、思いのほか少ないということでした。
優秀な学歴を持つ人は、たしかに仕事ができる人が多いです。頭の回転が速く、ビジネスに必要な知識ときれいな企画書づくりやプレゼン能力があります。ただ、その「できる」は、ある程度決まったフォーマットや理論、正解がある仕事で発揮されるイメージだったのです。
一方で、ゼロからあるいはイチから誰もやったことがないアイデアを生み出したり、他の人が気づかない市場の可能性を見つけたり、雰囲気が悪くバラバラになっているチームを共通の目標のもとにまとめたり…といった力を発揮する人は、学歴とは関係なく人間的な魅力やその分野における卓越した能力、技術、専門性を持っていました。