バイデン大統領Photo:NurPhoto/gettyimages

 米国は、ここ数世代で最も包括的な産業政策の実施に乗り出している。産業政策とは、優遇するセクターを支援するために政府の資源を活用することだ。議会は半導体、再生可能エネルギー、インフラに数千億ドルの補助金を割り当てた。ジョー・バイデン大統領は、ドナルド・トランプ前大統領と同じく、関税や輸出規制、「バイ・アメリカン」政策を利用して国内産業の強化と中国への対抗を図ろうとしている。

 実際、産業政策は長期的には、よりよく知られ物議も醸したバイデン氏の財政刺激策よりもバイデノミクスで重要な役割を果たすかもしれない。しかし、産業政策は財政政策はもちろん、金融や医療、教育など他のあらゆる政策と決定的に異なる点がある。厳密な経済学的根拠がないことだ。

 産業政策の定義に関して、学者や政治家の間で合意はない。関税は含まれるのか。研究開発税控除や授業料補助はどうか。目標は何か。工場の雇用を守ることか。他国から市場シェアを奪うことか。中国をけん制することか。画期的なイノベーション(技術革新)を促すことか。気候変動を解決することか。