何もしゃべらないけど、残っている人たちもいた。コミュニケーションがなくても、ここにいることが苦痛と感じていないことはわかる。

「あの時間が、いちばんいい時間だったのではないか」

 そうファシリテーターは振り替える。

 問いもないし、何かをやらなければいけないわけでもない。ただ、自由に話をしている光景が楽しそうに映った。

 参加者が共通体験をして、テーマの制約もなくなったとたん、一気に解放された感じだろうか。一緒にモノをつくったこともあって、打ち解けられたのだろう。

「3回目でここまでできたのは、感動的だった」とファシリテーターはいう。

 そのうえで、「アイデア自体が形になってくる実感が持てると、次に生かせるのではないか」と、次回以降に期待する。

「それをやろうと言って実現できちゃう力やお金を持って人が入ってくると、パワーになりそうです」

 次回の庵FCに向けて、ディレクターの川初さんは、「IORI発『ひきこもり2.0』キャンペーンプロジェクト」というソーシャルムーブメントを仕掛けたいという。

「ひきこもり2.0」とは、「引きこもる人たちの繊細さや高い感受性、創造性、寛容さといった特質や優位性の発見と再評価」を行うことによって、外とのつながりを考える。そして、「引きこもりならではの価値を社会と当事者がともに知覚し、ともに変化して、融和していく」ことを目指すものだ。

「庵FCから、我々の思いなどのメッセージを発信し、共感・賛同してくれる支援者や関係者、有識者などにも声をかけ、一緒にやってくれる人に呼びかけたい」(川初さん)

 次のセッションでは、そうしたアイデアをみんなで考えられるといいかもしれない。

 自分が参加しているところから社会に風を起こす。自分が関わったものが目に見える形で実現していくことが、何よりも自信につながる。

 1人ひとりの問題に向きあっていても、なかなか解決は難しい。まったく違うアプローチをしていくことが大事なのかもしれないし、そのほうが可能性も感じる。

 未来を語る中から紡ぎ出される自由な発想や愉快なアイデアにこそ、私たちが解決すべき課題への提案やアクションの方向性が見えてくるのかもしれない。

 次回の庵FCは、4月7日(日)午後1時から3時30分にかけて、新宿区内の会場で行われる。

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