社会から離脱して、引きこもる人たちの中に「負い目ポイント」というものがある。

 「負い目ポイント」は、人によって多少の違いはあるものの、主に「履歴」だったり、「社会経験」だったりする。一旦、社会を離脱した人たちが、なかなか復帰できなくなるのも、こうした負い目ポイントを本人ではなくて、社会がつくりだしていることに原因がある。

休めば「なぜ働かないのか」と責められる
結果ですべてを判断する世間への疑問

 「他人から評価される“いい所”は、いつも結果で判断されるんです。でも、“いい所”って、本当に結果だけなんでしょうか?」

 現在も「引きこもり」状態の生活を続けていて、「発達障害」と診断されたという御堂諦さん(年齢非公開)から、先日、そんな話を聞く機会があった。

 御堂さんは、高校卒業後の時点で、人間関係に疲れていた。将来が信じられない。しばらく休ませてほしかった。

「なぜ働かないのか?」と責められる。でも、学校を卒業した後の進路を思い浮かべたとき、会社員として仕事をしている自分が想像つかなかった。

 高校卒業後、都内の専門学校に毎日通いながら、大学の教育学部の通信制課程で学んだ。通信制課程は、大学版サポート校のようなシステムだったという。

 学校では、詰め込み的なカリキュラムが行われ、友人とのメールのやり取りも、レポートや試験に関することばかり。新聞を読むような余裕がなかった。

 当時、大学の総長がある事件で逮捕されて退学騒動が起きた。その少し後、御堂さんは、潰瘍性大腸炎を発症。大学を退学する。

 当時、記憶にあるのは、『らき★すたエンディングテーマ集~ある日のカラオケボックス~』というCDを購入したこと。また、『月刊ニュータイプ』というアニメ雑誌の付録で、この作品を舞台にした埼玉県鷲宮町(現在の久喜市)の鷲宮神社が話題になっていたことくらいだ。この模様を取材した、フジテレビ系の『NONFIX』というドキュメンタリー番組『オタクと町が燃えた夏』が放送されたのを観た。