パチンコ、麻雀、女、酒、タバコを欠かさず、ほぼニート状態の父親。それに母親が共依存するという複雑な家庭環境に育った。14歳のとき、父親が自己破産して失踪。貧しい生活を支えた母親は病に倒れ、半身不随に。苦境のなか、独学で大学に合格、奨学金を得た。そして、兄・成田悠輔がくれた本をきっかけに「起業」を志した。話題の書『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)の著者・成田修造は、体当たりで起業家の道を歩むようになる。本書は起業を通じた人生の指南書で、何歳からでも組織に頼らず、副業・独立・起業でビジネスを展開するときに必須の内容。これからは会社員であっても、自分で事業をつくれると強い。その思考法とノウハウを全公開する。
※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

【会社員必見】日本が貧しくなった30年間Photo: Adobe Stock

韓国・台湾を下回る
日本の1人当たりGDP

日本企業の成長が停滞すれば、日本人も貧しくなります。

国際通貨基金(IMF)の発表によると、個人の豊かさを示す日本の1人当たり名目国内総生産(GDP)は、2021年時点で3万9583ドル(約435万円)でした。

これは、韓国(3万4940ドル)を13%、台湾(3万2470ドル)を2割ほど上回る水準です。

ところが、日本経済研究センターの試算によると、日本の1人当たりGDPは、2022年に台湾、2023年に韓国をそれぞれ下回るといいます。

デジタル化の遅れによる
労働生産性の低迷

もともと、2027年に日韓、2028年に日台が逆転するとの予測が出ていたのですが、昨今の円安などの影響を受けて逆転時期が前倒しとなった形です。

日本のGDPが伸びないのは円安だけが原因ではなく、労働生産性の低迷も影響しています。

デジタル化の遅れにより労働生産性が伸び悩んでいる日本は、デジタルトランスフォーメーション(DX)が、先行する韓国や台湾に差をつけられているのです。

日本が貧しくなった30年間

さらに、日本は世界最高の高齢化率であり、労働力人口が減っていきます。そのため、これまでのやり方を抜本的に変えない限り、ますます世界との差が広がっていくことになります。

実質賃金の比較においても、日本はここ30年間停滞しています。実質賃金とは、名目賃金から物価の影響を考慮して算出したものなので、実際の生活の豊かさを測る指標になります。

【会社員必見】日本が貧しくなった30年間

日本人の実質賃金は1996年をピークに、ほぼ右肩下がりです。これと裏腹に海外の実質賃金は伸びており、今や日本の実質賃金はG7(主要7カ国)の中でも最低水準になってしまいました。

【会社員必見】日本が貧しくなった30年間

年間所得の中央値が
25年で30%以上低下

内閣府は、総務省「全国家計構造調査」「全国消費実態調査」の個別データをもとに1994~2019年の世帯所得の変化を分析しました。

それによると、全世帯の年間所得の中央値は、1994年の550万円から2019年は372万円と32%(178万円)も下がっています

こうした問題に加えて、2022年から日本国内で徐々にインフレが進んでいます。

また、円安により日本円の価値が落ち、同じモノやサービスを購入するにも多くのお金が必要になってきています。

これまでの生き方を
考え直すということ

今後30年以内に発生する確率が70~80%とされる南海トラフ地震などの自然災害のリスクも抱え、少子高齢化により社会保障の維持が難しくなり、税金や社会保険料の負担も増えていくことは想像に難くありません。

いまなお日本についてトップクラスの先進国というイメージを持つ日本人は少なくありません。しかし、現実を知れば、決してそのようなことはないのです。

僕たちは個の力で生き残る方法を探らなくてはいけません。

日本企業に変革が欠かせないのと同じように、自分や大切な人の暮らしを守るためにも、個人として生き方を考え直す時期にきているといえます。

※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。