仕事ができない「頭の悪い人」が考えている、たった1つのことがあります。
そう語るのは、これまで4000社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「もう誰も言ってくれないことがここに書いてある」と話題の著書『リーダーの仮面』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに「判断軸」を授けている。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、注目のマネジメントスキルを解説する。(構成/種岡 健)
「仕事ができない人」が口にすること
いまの世の中は、
「フリーランスになろう」
「副業をやろう」
「会社をうまく利用して、個人のスキルアップをしよう」
という流れがあります。
「会社に使われるのではなく、会社を使おう」という考え方を勧めているインフルエンサーもいます。
仕事ができない人に限って、そのようなことを口にします。
しかし、私は、「会社にうまく使われる」ことを意識したほうが成長は早いと考えています。
どこまで行っても、「組織あっての個人」だという考え方です。
どんなに優秀な人でも会社員である限り、外からは「A社の○○さん」というように、所属する組織とセットで認識されます。
個の力、個の存在だけで生き抜いていける人は、ごくわずかです。
ほぼすべての人は「組織やコミュニティに貢献できているかどうか」によって対価を獲得する存在です。
独立して社会から評価を得る仕組みも、組織の中で上司から評価を得る仕組みも、本質的には一緒です。
会社で評価されない人が、社会から評価されることなんて、ほぼありません。
会社を飛び出して自力で社会から評価を得るほうが、難易度は上がります。
独立して1人でやっていく。
会社のトップとしてやっていく。
それは、市場からの評価をダイレクトに獲得する存在になるということです。
より大きな「社会」というコミュニティに認められるのは、高度なことです。
会社員であれ、個人商店であれ、「社会の一員として」成果を上げていかないといけません。
だから、「個人」と「組織」は本来、分けられるものではありません。
「組織の中の個人」「組織あっての個人」があるだけです。
独立して成功できる人は、組織でもやっていける人です。
その順番を間違えるのは、本当に「頭の悪いこと」なのです。
「マンモス」を山分けしよう
そもそも、人間が集団をつくる理由はなんでしょうか。
それは、集団でものごとを成したほうが、得られる成果が大きくなるからです。
いつの間にか、終身雇用や年功序列があることが、組織のメリットのようになっていますが、いずれも二次的なものです。
雇用を安全に守ってもらえることだけが組織のメリットではないのです。
集団だからこそ、成し得ることがあります。
大きなものを動かしたり、大きな利益を獲得しようとしたときに、人は集団をつくります。
はるか昔、人間は集団をつくり、みんなで狩りをすることでマンモスも狩れるようになりました。
1人1人が小動物を狩るのではなく、自分たちよりずっと大きいマンモスを狩り、その肉を山分けするようになれたのです。
集団で大きな利益を獲得し、獲得した利益を分配する。
そうすることで、個々の人間が1人ずつ取り組むよりも、結果的に多くの利益、分配を獲得することができます。
メンバーが適切に動けば利益は最大化します。利益を最大化するための方法が集団で動くということです。
大企業になればなるほど給料が高くなるのも、そういう訳があります。
大きい獲物を狩ると、個人の分け前が増える。それが正しい順番です。
(本稿は、『リーダーの仮面』より一部を抜粋・編集したものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2024年4月現在、約4000社の導入実績がある。主な著書に『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』のシリーズ(いずれもダイヤモンド社)がある。