日銀・植田和男総裁Photo:EPA=JIJI

賃金と物価の好循環を見極め
1月にも異次元金融緩和の出口へ

 日本銀行は、昨年(2023年)12月18日・19日の金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決定した。この決定は事前の予想通りであったが、植田和男日銀総裁が記者会見にて1月の金融政策決定会合での政策変更を示唆する発言をしなかったことから、マイナス金利政策解除の期待が後退している。

 もっとも、経済、物価、賃上げ動向などの新たな情報がこれから出てくる中で、1月の会合での決定を事前に示唆する発言が出てくると思う方が無いものねだりだろう。しかし、直截的な表現はなかったものの、植田総裁の会見上での発言は今年の金融政策を展望するうえでのヒントが少なからずあった(図表1)。

 まず、2%の物価安定目標達成の可能性について、基調的な物価上昇率が徐々に高まっていく確度は引き続き高まっているとして、出口に近づく状況が変わらず続いていることを示唆した。

 同時に、賃金と物価の好循環が強まっていくか、なお見極めていく必要があるとして、慎重なスタンスを崩していない。しかし、これは従来から続いている表現であり、1月の会合での政策変更を否定するものではない。

 一方、好循環と関連して、まだ低下が続いている実質賃金については、賃金上昇が続き、インフレ率が低下を続けることで実質賃金が好転するという見通しが立つのであれば、足下で実質賃金が低下していても出口の判断は可能という趣旨の発言をした。

 実質賃金のプラス転換が出口の条件という定量基準が示されたのならば、2024年はもちろん当分の間、出口を抜けることはできなくなるところだが、今のような状態が続いていれば政策変更は可能という方向性が示されたことになる。