金融政策決定会合で、日本銀行の植田和男総裁はYCCの再柔軟化を決めた金融政策決定会合で、日本銀行の植田和男総裁はYCCの再柔軟化を決めた Photo:Bloomberg/gettyimages

日本銀行が政策修正に踏み切った後、三菱UFJ銀行を筆頭に続々と定期預金の金利を引き上げている。金利上昇時代では、各行の預金戦略がリテールビジネスの将来を左右する。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

三菱UFJ銀行が
定期預金の金利を100倍に

 日本銀行は10月31日の金融政策決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再柔軟化を決めた。10年物国債の金利1%超を許容する内容である。

 この翌日、定期預金の金利を引き上げると即座に発表したのが三菱UFJ銀行だ。10年物の定期預金を、0.002%から0.2%へと100倍に引き上げた。これは2012年以来、約11年ぶりの金利水準に戻したことになる。

 日銀の政策修正の翌日に動いたことで、市場関係者からは「かなり用意周到に準備していたのではないか」との声も上がっている。これに対し三菱UFJ銀行は「日銀の金融政策決定会合にかかわらず、市場の実勢レートを踏まえて定期預金金利を引き上げた」と説明する。日銀の政策決定は関係なく、あくまで金利のトレンドを踏まえての決定ということだ。

 その真偽は定かではないが、他の銀行が市場の実勢レートだけで定期預金の金利引き上げを決めているわけではないことは確かだ。