日銀の異次元緩和「出口後」シナリオ、24年1月のマイナス金利解除を物価落ち着きが後押しPhoto:SANKEI

出口に向けての“地ならし発言”
1月決定会合で政策変更の可能性

 先週から今週にかけて円ドル相場が一時141円台と円高に戻すなど、為替市場や株式市場は、日本銀行の金融緩和の出口が近いという思惑から神経質な動きとなった。

 12月6日の氷見野良三日銀副総裁が講演で、「将来、(異次元緩和策の)出口を迎えた場合に何が起こるのか」といった踏み込んだ切り口での分析を披露したのに続いて、7日には植田和男日銀総裁が参院財政金融委員会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言。政策変更の“地ならし”と受け止められたからだ。

 市場の動きは思惑が先行し過ぎている感もあり、さすがに今月18、19日の金融政策決定会合での政策変更はないだろう。

 だが今の物価や経済情勢は、日銀がその気になれば今すぐにでも物価と賃金の好循環が強まって2%の物価安定目標を達成できたといえる状況だ。次の展望レポートが発表される来年1月の金融政策決定会合での出口が見えてきたのではないか。

 一方日銀は、安定的、持続的な2%物価目標実現については、十分な確度をもって見通せる状況にはなお至っていないとして、従来と認識や姿勢は変わっていないことを強調しており、こうした日銀の公式スタンスは出口戦略の開始を決める直前まで続くはずだ。

 見極めるべきは、異次元緩和からの出口後のシナリオだ。