「老後資金への不安」は、いまや多くの家庭が抱える切実な問題。インフレ到来で「お金は現金で貯めておけば安心」という時代は終わった、とFPの斎藤岳志氏は言う。これからの時代、どうやって私達は老後のお金を守っていけば良いのだろうか?60代鴨下夫婦の疑問に、お金のプロが答える。※本稿は、斎藤岳志『老後が不安……。貯金と年金で大丈夫ですか?』(現代書林)の一部を抜粋・編集したものです。
「老後の資金が足りない!」
どうすればいい?
(夫)年金では足りない、貯金も目減りのリスクがあると……。すると私たちはどうすればいいんでしょうか。
(妻)おばあさんになって路頭に迷いたくないです~~(泣)。
大丈夫です! そのために私に相談に来てくださったわけですから。まずひとつは「65歳以降も働く」ということがあります。パートなどでいいので、月3~6万円を稼げば不足分をカバーでき、自己資金の目減りを抑えることができます。
(夫)う~~ん、働ければ働きたいのですが、持病があって体力にあまり自信がないんですよね……。あと65歳まで働いたあとは少し休みたいというのが本音です。休んだ後で働ければいいけど、その年では仕事探しがなかなか難しいかも……。
(妻)私も働けばいいのですが、数年前に両親の介護のためにパートを辞めてしまって、先の見通しが立たない状態です。
健康あっての第二の人生ですから、無理をするのはよくないと思います。もうひとつの方法は、手持ちのお金を増やす資産運用、つまり投資です。せっかく3000万円もの資金があるのですから、お金に働いてもらうという考えです。
(妻)「お金に働いてもらう」って言葉、ものすごく魅力的ですね! とはいえ、投資ってなんか怖くて今までやったことがないんですよね。
(夫)僕らの世代はバブルを経験しているでしょう。あの当時、株で一夜にして数千万円がパーになったとか、破産したとか、そういう話がいくらでもありました。中には「株とギャンブルだけには手を出すなというのが我が家の家訓だ」とか言う人もいて……。
(妻)もうひとつ、投資をするなら、ちゃんと勉強をしないといけないでしょう。それが正直、面倒くさくて(笑)。自分たちには向かないんじゃないかって……。
はい、確かに知識なしに始めるのは危険だと思います。定年になった方が、これからは時間もあるからと、退職金を元に株式投資を始めて、失敗してしまうということもあります。
(夫)ああっ、まさにそういう人が身近にいます! 会社の先輩だけど、退職金をFXにつぎこんで大失敗しちゃったんです。その人は奥さんにめちゃめちゃ怒られて、損を埋めるために再就職したんですけど、体がきつくて大変だって。そういう話を聞くと投資ってやっぱり怖いなって……。
それはなかなかつらい話ですね。しかし私がお勧めするのはそういうギャンブル性の高い投資とはまったく違います。しかも難しいことは一切ないので、初めての人でも安心していただけると思います。まず基本的な考え方として、「大儲けをする」という発想ではなく、「年金の不足分を埋める」ことを出発点として、確実性の高いもので運用していきます。