お金を貯めるときに考えたい
「記憶の配当」とは
ちょっとここで差し出がましいかもしれないのですが、私からのご提案というか、考慮に入れていただきたいことがあります。それは「記憶の配当」という考え方です。
(夫)記憶の配当? なんですかそれは?
はい。「記憶の配当」とは『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ダイヤモンド社)で使われている言葉です。この本では「ただお金を貯めるだけで人生を終えてしまうのはあまりにもったいない、使うことで人生を豊かにしよう」と提唱されています。当然ですが、お金は天国に持って行けないですよね。そしてお金はご自分の人生の楽しみを広げたり、人を喜ばせることのできたりするツールでもあります。つまりお金を使うことによって「経験」や「記憶」を配当として受け取れるわけです。「これにお金を使ってよかった」と思える経験を積み重ねることで、人生はより豊かになるという考え方です。
(夫)なるほど! 今まで貯めることにしか視点が向いていなかったです。
鴨下さまはご夫婦で力を合わせてお子さんを育て、家を買って、ここまで貯金をされてきました。この資金はなによりも価値のあるものです。だからこそ趣味や旅行に使ったり、お子さんやお孫さんのために使ったりと、人生を楽しむために「使う」ことも考えて頂きたいという私からの提案です。
(妻)なんか感動……!
私も実際、この仕事をしていると、貯め込むだけ貯め込んだのはいいけれど、高齢になってしまって、体も動かず、もう使いようがない……と後悔する人の話を聞くわけです。またお2人には相続人がいらっしゃいますが、相続人がいない方が亡くなった場合、遺産は国庫に入ります。その総額が年間600億円以上あるそうです。国庫は潤うかもしれないけれど、貯めた側からすれば実にもったいない話ですよね。この本では人生には貯める時期と使う時期があるとしていて、60代からは資産運用も続けつつ、お金を使う時期であるとしています。極端に言ってしまえば、亡くなるときに資産が「0円」というのが、キレイなお金の使い方だというわけです。
(夫)0円ですか! そんなに都合よく逝けますかね(笑)。子どもたちにも少しは残したいんですけど。
もちろん実際に0円になる必要はないし、お子さんたちへの贈与や相続もしていいのです。それらについてはあらかじめ取り分を決めておきましょうという話です。要は貯めることばかりでなく、生きた使い方をすることにも目を向けていただきたいということなんです。
(夫)寄付や流行りのクラウドファンディングなんかもいい使い方かもしれないですね。
そうですね、社会貢献も大きな価値をもたらしてくれる使い方だと思います。
(妻)お金を増やしてガッツリ楽しく使う! なんだかこれから先が楽しみになってきました!
それはよかったです。では早速お2人の老後資金のプランを立てて行きましょう!