老後の資金不足が心配されるなかで、「不動産投資」の注目度が高まっている印象だ。定年を控え、資産運用を検討し始めた鴨下さんもその1人。相談を受けたFPの斎藤岳志氏が、60代の鴨下夫妻に「中古ワンルーム投資」を勧める理由とは。※本稿は、斎藤岳志『老後が不安……。貯金と年金で大丈夫ですか?』(現代書林)の一部を抜粋・編集したものです。
初めての不動産投資は
「中古ワンルームマンション」がお勧め
鴨下さまにお勧めの投資は不動産投資です。
(妻)不動産投資っていうと、不労所得が得られる大家さん業ですよね。長年の憧れです〜。
(夫)でも不動産投資ってお金がたっぷりあって、不動産の目利きのできる人がするものでは……? 私たちのように知識もなく、資金力もない者ができるんでしょうか……。
最初はそう思われるのも当然だと思います。でも私自身が知識もなく、資金もないという状態から不動産投資を始めてコツコツ勉強もしながら16年経ち、資産運用の手段として非常にお勧めできると確信しています。
(妻)お話を聞いてダメそうなら率直に言います(笑)。
それがありがたいです。不動産投資と言っても、私がお勧めするのは「中古ワンルームマンション」です。中古ワンルームマンションをお勧めする主な理由は、
・購入しやすい価格であること
・入居者の対応。共有部分の管理を管理会社に委託できること
の2つです。
(夫)なるほど、中古のワンルームマンションなら私たちでも買いやすく、管理もしやすそうですね。
もちろん不動産投資の知識があって、資金力がついてくれば、いろいろな買い方ができると思います。でも初心者の方の場合はまずは中古ワンルームマンションが扱いやすいです。まず1つ目のメリットなのですが、不動産投資は、毎月の家賃収入が見込めることから、「もうひとつの年金」「年金代わり」になるということです。今ある資金を不動産に変えることで、年金の不足分を補う、つまり「年金+α」の収益を生み出す資産として保有することができるのが不動産です。
(夫)「私設年金」みたいなものってことですか。それは心強いですね。
実際に年金に不安を感じて不動産投資を始める人は多いです。お金ってそのまま持っていても増えないけれど、お金を不動産に変えて持つことで「価値を生み出してくれる資産」になるわけです。
(妻)毎月ちゃんと家賃が入ってくるのが魅力的ですね。
(夫)毎月の家賃収入が見込めることが株式投資との違いですね。
はい、そうですね。もちろん空室になってしまえば家賃は入ってこないので、物件をしっかり選ぶこと、そして「年金プラスいくら欲しいか」というプランに合わせた、身の丈にあった買い方をすることが重要となってきますが。
それと株式のような金融商品と違って、日々の値動きに一喜一憂せずにすむという、精神的な安心感が不動産投資にはあります。賃貸用不動産というのは「解約に少し時間がかかる定期預金」のような存在だと考えていただくといいと思います。