新NISA制度が始まり、資産運用への関心が高まっている。金融にまつわる情報が溢れている今こそ、「お金の教養」を身につけておきたい。金融と経済のしくみを60分で楽しく学べる『アメリカの子どもが読んでいるお金のしくみ』が発売された。本稿では本書のまえがきから特別に一部を抜粋して紹介する。

子どもが「お金で苦労しない」ためにできるたった1つのことPhoto: Adobe Stock

クレジットカードを使えばいいじゃない!

 ショッピングモールを散歩していたときのことだ。

 当時9歳だった息子のアンジェロがゲーム店でニンテンドー3DS XLの巨大なディスプレーを見つけた。

「この新しいゲーム機を買ってください」と息子は私に行儀よく頼んできた。

「あいにく今はお金をあまり持っていないんだ」と私が答えると、息子は無邪気に言い返した。

「でもお父さん、お金は必要ないよ。クレジットカードを使えばいいじゃない!」

 多くの小学生は、息子と同じように、クレジットカードで買いものをするのにお金は必要ないと思っている。

 さらにアンケートをとってみると、中学生もその多くは、たとえ学校の成績は優秀な生徒であっても、貯蓄、クレジット、投資、金融については限られた知識しかないことがわかった。

お金の使い方で人生が大きく変わってしまう

 大人は自分のお金を管理することの大切さを知っている。

 予算を立てたり、ローンを申請したり、投資したりするときには金融の知識を使う。

 お金の使い方をまちがえると、自分の人生が大きく変わってしまうかもしれない。だから、金融の基礎を理解することは現代社会では絶対に欠かせない。

 ところが、大人はお金がいかに大切であるかを知っていても、子どもたちが学校でしっかりと金融を学ぶ機会はめったにない。

 家庭科や数学の授業で金融についての概念は紹介されるが、ほとんどの子どもたちにとって、実際の金融の仕組みについての授業を受ける機会はない。

 つまりクレジットカードの仕組みだけでなく、多額の借金や支払いの遅れが、暮らしにどのような影響を及ぼすかといったことは学校で勉強しない。「金融とは何か」を学べるのは、大学で金融の講義を選択するほんの少しの学生だけだ。

 私は一人の親として、できるだけ早期に子どもたちに金融を教える必要があると強く願う。

 スポーツをすることによって忍耐力とチームワークが身につき、武術の練習によって自制心と規律が養われ、音楽と芸術によって創造性と自己表現が向上する。

 同じように、若いうちに金融に関する教育とトレーニングを受けることで、お金に関する正しい考え方や使い方が身につく。

 ネットショッピングが普及し、いつでも好きなものを好きなだけ購入できる現代では、巨額のローンに苦しめられたり、クレジットカードで多額の借金を負ったり、自分の支出をコントロールできなくなってしまう前に、子どものうちから、しっかりと金融の知識を身につけておく必要がある。

(本稿は『アメリカの子どもが読んでいるお金のしくみ』から抜粋・編集したものです。)