「順位をつけない徒競争」が子どもをダメにする、これだけの理由Photo:PIXTA

「子どもの競争を避けてはいけない」そう語るのは、日米で学習塾を経営し25年間で延べ5000名以上のバイリンガルを育成しているTLC for Kids代表の船津徹氏。「こんなにも具体的で内容が詰まっているものは初めて!」「目からウロコ」と子育て世代に話題の新刊『「強み」を生み出す育て方』の中から、25年間の塾経営でたどり着いた【健全な競争心の育て方】をお届けする。

子どもの競争を避けてはいけない

「競争」は子どもの成長に不可欠です。近年の日本は「徒競走で順位をつけない」など、一部で子どもから競争を遠ざける傾向もあるようです。

 しかし、子どもから競争を奪ってしまうと「目標に向かって頑張る」という自主的な意欲が育ちません。また成功体験を通して「自信」を大きくすることができません。失敗や敗北をバネに飛躍する「たくましい精神」を鍛えるチャンスを失ってしまうのです。

 おすすめなのは、習い事で競争を経験させること。その理由は以下の3つです。

(1)目標を持って練習に取り組むため
(2)自分の技能を客観的に理解するため
(3)敗北や失敗をバネに飛躍する力を身につけるため

 どんな習い事であっても、週に1~2回のグループ練習に参加しているだけでは技能発達は平均止まりです。子どもが周囲から頭一つ突き抜けるには、明確な目標が必要です。

「夏の大会(発表会)に向けてがんばろう!」「次の試合で1回戦を突破する!」という目標で、子どものモチベーションは高まります。競争に参加しても勝てる保証はありませんが、明確な目標を定めた子どもは段違いに伸びます

 その理由は、普段の練習で実戦を意識できるようになるからです。本番の演奏会や試合をイメージしながら、課題を持って練習に取り組めます。同じ練習をしていても、漠然とこなす子どもに比べて、効果的に技能習熟が進むのです。

 反対に「コーチに言われたからやる」「失敗してもやり直しが利く」という軽い気持ちで練習に向き合うと、才能があっても技能は伸び悩みます。人間は「意欲を持って練習すること」で技能習得のスピードを速めることができるのです。競争は、目的意識を強め、質の高い練習を可能にし、習い事の習熟度を高めてくれます。

「わが子にピッタリの習い事を詳しく知りたい!」という方のために、著書『「強み」を生み出す育て方』ではオリジナル診断を掲載しています。気質×才能の25タイプ別診断で「わが子にピッタリの習い事」がカンタンにわかります!

子育て成功のカギは「強み育て」にある

「順位をつけない徒競争」が子どもをダメにする、これだけの理由「強み」を生み出す育て方』 (船津徹・ダイヤモンド社)定価:1980円(税込)

 子どもが社会の変化に翻弄されずに、自分らしく幸せに生きていくには、失敗や挫折に負けない「たくましさ」を確立しなければなりません。一生ものの武器になるたくましさですが、どのように育てれば良いのでしょうか?

 たくましさが育つ要因は、家柄、血筋、遺伝ではありません。もちろん親の学歴や職業も無関係です。「子どもの潜在的な強みを引き出すこと」でたくましさは育つと断言できます。

 つまり、子育てで最優先すべきは「強み育て」なのです。強みは、音楽でもスポーツでも勉強でも、なんでもいいのですが、習い事は強みを育てる最高のチャンスになります!だから習い事選びは「子育て成功」に直結するのです。