これまでは、中国語を「読む」ことに集中してきた。「日本にいて、中国に関する情報を収集する」ということに限定すれば、これで目的の9割は達成することができる。

 ただし、それだけでは、もちろん十分ではない。今回は、「中国語を聞くこと」について述べる。

なぜ聞くことが重要なのか

 なぜ聞くことが重要なのか?

 まず何よりも、どのように発音されているのかを知りたい。文章を読むことができても、それが実際にどう発音されているのかまったく分からないというのでは、居心地が悪い(私は、高校生の時から、漢文の時間に読まされる漢詩は、中国語で発音したらどうなるのだろうと、多大の興味を抱いていた。「韻を踏んでいる」と言うのだが、日本語訓読では分からない。だから、漢文の時間の漢詩の勉強では、もっとも重要な部分を理解できずにいると思っていた)。

 また、聞くことができれば、情報収集の能力は一層高まる。中国のテレビ(インターネットで見ることができる)などを通じて、情報を集められるからだ。

 それに、何よりも、「聞いて分かる」というのは、楽しいものだ。最初は何も分からなかったのに、だんだん分かる部分が多くなっていく。それまで霧の中でおぼろげにしか見えなかったものが、次第にはっきり見えてくる。これは、楽しいことだ。だから、仮に実用的な目的が何もなかったとしても、外国語の学習は意味がある。

 そして、中国語のリズムや発音は、聞いていて心地よい。だから、中国語を「聞く」練習は、趣味としては最高のものだ。私は、外国語の勉強は、退職後に取り組むには最高のものだと思っている。「退職後、閑で何もやることがない。一日の時間が長くて持て余している」などと言っている人は、是非、中国語のヒアリングに挑戦してみよう。