ソニーPhoto:123RF

2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はソニーグループ、パナソニック ホールディングス、シャープの「総合電機」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濱口翔太郎)

ソニーグループが大幅増収も
3Q累計の利益面は…

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の総合電機業界3社。対象期間は2023年8~12月期の四半期(3社いずれも23年10~12月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・ソニーグループ
 増収率:21.7%(四半期の売上高及び金融ビジネス収入3兆7475億円)
・パナソニック ホールディングス
 増収率:0.9%(四半期の売上高2兆1809億円)
・シャープ
 増収率:マイナス14.5%(四半期の売上高6064億円)

 総合電機業界の3社では、ソニーグループが2割超の大幅増収を達成した。パナソニック ホールディングス(HD)も増収を死守した一方、シャープは「独り負け」の2桁減収に沈んだ。

 24年3月期第3四半期(23年4~12月期)の累計決算においても、ソニーグループは前年同期比で20.2%の増収、パナソニックHDは1.2%の増収で着地した。一方、シャープは10.3%の減収と、こちらも優勝劣敗が鮮明になった。

 ただし、第3四半期累計の利益面を見てみると、意外な事実が浮かび上がってくる。売上高では絶好調だったソニーグループが苦戦しているのだ。具体的な金額は後述するが、営業利益は前年同期比15.3%減、純利益は同9.6%減と、いずれも減益という結果だった。

 またソニーグループは、24年3月期の通期業績予想を修正。予想営業利益・予想純利益は上方修正したものの、予想売上高を従来予想から引き下げた。

 ソニーグループに何が起きているのか。次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、ソニーグループの現状について詳しく解説する。