現代人は「慢性的で容赦ないストレス」に押しつぶされ、頭も肉体も、そしてメンタルも疲れ切っている。私たち人間が本来持つ「エネルギー」を取り戻すには、どうすればよいのだろうか? 本連載では、スタンフォード大学で人気講義を担当し、億万長者の投資家、シリコンバレーの起業家、アカデミー賞俳優のコンシェルジュドクターでもあるモリー・マルーフの著書『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から人生最高の時期を引き延ばし、生活の質を最大限に高め、幸福度を増し、慢性疾患の発症リスクを下げる「最新の健康法」を紹介する。
「血糖値」は高すぎても低すぎてもいけない
米国疾病対策センター(CDC)によれば、空腹時血糖値(起床後朝食をとる前の血糖値)の正常値は99mg/dL以下だ。
空腹時血糖値が100~125mg/dLの場合は前糖尿病とみなされる。126mg/dL以上なら糖尿病であることを示す。
しかし、多くのバイオハッカーや統合医学の医師たちは、この基準値を高すぎると考えている。
私は個人的には、空腹時血糖値は85mg/dL前後(プラスマイナス7mg/dL)を正常値とみている。
つまり、血糖値の正常値には下限もある。血糖値が常に70mg/dLを下回っていても、身体には大きなストレスをかけることになる。これは主に栄養不足になりがちな高齢者に懸念されることだ。
食後の血糖反応をトラッキングすることが、どの食品をどの程度食べると危険水域に陥るかを判断する一助になる。
原則、食後2時間の血糖値は140mg/dLを超えるべきではない。
大半の人が食後は血糖値が99~137mg/dLになるが、これでも高すぎるという声がある。米国臨床内分泌学会(AACE)は、食後2時間の血糖値は120mg/dL未満であることを推奨している。
食後血糖値が160mg/dL以上になると、心血管リスクが高まると示唆する研究もある。このレベルの高血糖は細小血管に損傷を与えるからだ。
腎臓にも高血糖によって損傷を受ける細小血管が集まっている。
食後血糖値が160mg/dLを超えると尿に糖が出始めるかもしれない。こうした血管損傷は、心疾患やがん、脳卒中、認知症にもつながるおそれがある。
(本記事は『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から一部を抜粋・改変したものです。)