イラン大統領選の決選投票は7月5日に実施され、その勝者は国内の不和に加え、制裁で疲弊している同国経済を引き継ぐことになる。一方で国際舞台ではここ数十年間で最大の影響力を手にしている政府のかじ取り役も任される。イランは最高指導者アリ・ハメネイ師の指揮の下、数十年にわたり続く米政府からの圧力をはねのけ、ロシアや中国と協調することなどして長年にわたる孤立から抜け出した。イラン経済は米政府による制裁を受けて疲弊しているものの、中国との石油取引やロシアとの武器取引が財政的・外交的な生命線となっている。イランは現在、中東地域における米同盟国やその利害関係勢力にとって、1979年のイスラム共和国建国以来となる脅威に浮上。イランの支援を受ける武装集団はサウジアラビアの石油施設をミサイルで攻撃し、世界的な海上航路である紅海をまひさせた。またイラク、レバノン、イエメン、そしてシリアの政治を支配したほか、昨年10月にはイスラム組織ハマスがこの数十年で最大の攻撃をイスラエルに仕掛けている。