【カリスマトレーナーが教える！】体幹と股関節が一挙に鍛えられる万能トレーニング「バード・ドッグ」とは？

2024.8.10 4:25

中村豊

なかむら・ゆたか

[ストレングス＆コンディショニングコーチ]

ストレングス＆コンディショニングコーチ。1972年生まれ。高校卒業後アメリカにテニス留学。スポーツトレーナーという職業に興味を持ち、カリフォルニア州チャップマン大学で運動生理学、スポーツサイエンスを学ぶ。
1998年、米国パーマーアカデミー（現サドルブルック）のトレーニングコーチに就任。2000年女子テニスプレーヤー、ジェニファー・カプリアティのトレーナーに就任し、翌年世界No.1に導く。2004年よりIMGアカデミーに所属し、錦織圭のトレーニングを13歳から20歳まで受け持つ。2011年よりマリア・シャラポワの専属トレーナーに就任。シャラポワの黄金期を8年間支える。2020年6月、大坂なおみの専属トレーナーに就任。わずか2ヵ月でスランプに陥っていた大坂を再生させ、全米、全豪と立て続けのメジャータイトル奪取に貢献。世界のプロスポーツ界で最も注目されるフィジカルトレーナー。

世界最高のフィジカル・マネジメント

2020年に大坂なおみの専属トレーナーになるや、たった2ヵ月で全米、全豪と立て続けのメジャータイトル奪取に貢献し、かつては長期不振にあえいでいたマリア・シャラポワを世界No.1に返り咲かせた実績を持つカリスマトレーナー中村豊氏。
本連載は、世界トップクラスのトレーナーである彼が、一般の方向けに健全なカラダを手に入れるための各種メソッドや考え方を説くものです。世界最高のアスリートたちを指導するなかで得た経験と、スポーツ科学の最新の研究成果をもとに説く内容は説得力抜群です。
中村氏はアスリートがベストパフォーマンスを発揮するには、トレーニングによる技術や身体能力の向上はもちろんですが、同様に大切なのは心身ともに健康体であること、と主張します。そして、心と体を整えるためには、「トレーニング」「リカバリー」「栄養」の3要素が最も重要であると提唱します。
本連載では、この3要素を、彼がサポートした大坂なおみ、シャラポワ、錦織圭たちとのエピソードをふんだんに交えながら、一般人にも実践できる形でわかりやすく解説します。

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錦織圭、マリア・シャラポワ、大坂なおみ、ネリー・コルダ……指導した数々の選手を世界トップレベルに導いてきたトレーナー界のカリスマ、中村豊。彼に指導を受けた選手たちは、アスリートとして大幅なステップアップを遂げています。
中村はトレーニングによってのみ身体能力が向上するわけではなく、必要なのは「トレーニング」「リカバリー」「栄養」の3つのメソッドだと語ります。そして、この3つを適切に行えば、一般の人でも身心が健全に整い、若さを持続できると主張するのです。その実践方法を分かりやすく具体的にまとめたのが、中村の初著書『世界最高のフィジカル・マネジメント』です。本連載では同書内容を踏まえて、誰もが簡単にできるトレーニングやリカバリー法を紹介していきます。
腹筋を鍛える方法として最近ポピュラーになっているのが「プランク」です。仰向けに寝て上半身を持ち上げる従来の腹筋運動は、腰への負担が大きくなりがちです。そのため、身体への負担が軽いプランクが人気なのです。そのプランクをさらに進化させたトレーニングが「バード・ドッグ」です。体幹と股関節を一挙に鍛えられるオススメのエキササイズです。

Photo: Adobe Stock

人気の「プランク」をレベルアップさせた
ハイパフォーマンス筋トレ「バード・ドッグ」

「プランク」は腹筋、体幹を鍛えるトレーニングとして人気ですが、「バード・ドッグ」はさらに全身を鍛えることができる運動です。腹部の体幹が鍛えられ、お尻の大臀筋にも効果があり、股関節の可動域まで広げられる万能のトレーニングなのです。特にスタビリティといって、身体を安定させる筋肉を養うには最適のトレーニングといえます。

　四つんばいになって片手・片膝でバランスをとるため、高い集中力が必要であり、それがよりトレーニング効果を引き出すのです。五十肩、腰痛に悩んでいる方には、特にお勧めのエキササイズです。

筋力を鍛えながら
バランス感覚も養える

　この「バード・ドッグ」の効果を最大限に引き出すには、負荷を軽減しないように正確なフォームで行う必要があります。

　まず【写真1】のように四つんばいになります。手の位置は肩関節の真下、膝は股関節の真下にくるようにセットしてください。上半身は背筋を伸ばした状態をとります。

【写真1】背中は真っ直ぐ、手の位置は肩関節の真下、膝は股関節の真下

　次いで【写真2】のように左手をついたまま、右手を前に真っ直ぐ伸ばします。同時に下半身は右膝をつけた状態で、左足を真っ直ぐ後ろに伸ばします。

　このとき上半身は肩甲骨、下半身は股関節が伸びていることを意識してください。この状態を5秒間保ちます。不安定な状態でのトレーニングによってバランス感覚も養うことができます。

【写真2】右手は真っ直ぐ前、左足は真っ直ぐ後ろへ

　その後、いったん【写真1】の構えのポジションに戻ります。次いで【写真3】のように今度は左手を真っ直ぐ前に伸ばしながら、右足も真っ直ぐ後ろに伸ばします。この状態を5秒保ちます。

【写真3】手足の動作を左右入れ替える

　左右を入れ替えて1セットとし、この一連の動作を10セット繰り返してください。

（本記事は、『世界最高のフィジカル・マネジメント』の著者が書き下ろしたものです）

中村豊（なかむら・ゆたか）
ストレングス＆コンディショニングコーチ
1972年生まれ。高校卒業後アメリカにテニス留学。スポーツトレーナーという職業に興味を持ち、カリフォルニア州チャップマン大学で運動生理学、スポーツサイエンスを学ぶ。1998年、サドルブルック・テニスアカデミーのトレーニングコーチに就任。2000年、女子テニスプレーヤー、ジェニファー・カプリアティのトレーナーに就任し、翌年世界No.1に導く。2004年よりIMGアカデミーに所属し、錦織圭のトレーニングを14歳から20歳まで受け持つ。2011年よりマリア・シャラポワの専属トレーナーに就任。シャラポワの黄金期を7年間支える。2020年6月、大坂なおみの専属トレーナーに就任。わずか2ヵ月でスランプに陥っていた大坂を再生させ、全米、全豪と立て続けのメジャータイトル奪取に貢献。世界のプロスポーツ界で最も注目されるフィジカルトレーナーのひとり。トレーナーとしての豊富な経験と知識を生かし、一般の人に向けた入門書『世界最高のフィジカル・マネジメント』を上梓した。