錦織圭、マリア・シャラポワ、大坂なおみ、ネリー・コルダ……指導した数々の選手を世界トップレベルに導いてきたトレーナー界のカリスマ、中村豊。彼に指導を受けた選手たちは、アスリートとして大幅なステップアップを遂げています。
中村はトレーニングによってのみ身体能力が向上するわけではなく、必要なのは「トレーニング」「リカバリー」「栄養」の3つのメソッドだと語ります。そして、この3つを適切に行えば、一般の人でも身心が健全に整い、若さを持続できると主張するのです。その実践方法を分かりやすく具体的にまとめたのが、中村の初著書『世界最高のフィジカル・マネジメント』です。
本連載では同書から「誰もが自宅で簡単にできるフィジカル・トレーニング」を紹介していきます。今回は、数あるストレッチの中でも「世界最強のストレッチ」と呼ばれるメソッドをお教えします。ストレッチはお金も場所も必要としない最高の健康法です。どんなに忙しい方でも、たった3分このストレッチを行えば、全身を整えることができるはずです。
ストレッチこそがカラダを整え
若さを保つ最良の方法
最近、ストレッチを日課として行う人が増えています。ストレッチとは、意図的に筋や関節を伸ばす運動法です。身体の柔軟性を高める効果があり、準備運動や整理運動として活用されています。現代のトップアスリートは、運動前、運動後にかなり時間を割いて、入念にストレッチを行うようになっています。
身体を柔軟にするために行われてきたストレッチですが、血流が促進されることで体温を高める健康法としても用いられるようになってきました。
さらに最近の研究では、ストレッチにはリラクゼーション効果があることも明らかになっています。ストレッチ前後の脳波や自律神経活動を調べると、前頭葉でのα(アルファ)波を増加させ、心拍数を低下させることで自律神経をコントロールする効果がみられることが分かったのです。
つまりストレッチは肉体も精神も健康にする最良のメソッドなのです。
たった3分で全身が整う
「世界最強のストレッチ」
僕が指導しているアスリートたち、そして僕自身も、どんなに忙しくて時間がないときでも必ず行うのが、これから紹介する「世界最強のストレッチ」です。上半身、下半身と全身を使うので、身体全体に刺激を加えることができます。
まず、【写真1】のように、両手を肩関節の真下の床についてしっかりと伸ばし、上半身を安定させます。その状態から左足を左手の側に置き、膝の角度を90度に保ちます。右足は真っ直ぐ後ろに伸ばします。股関節周りが伸びていることを意識しましょう。
次に【写真2】のように右手は床についたまま、上半身を回転させながら左手を真っ直ぐに伸ばします。この時に、右腕から左腕が真っ直ぐ一直線になるよう保ってください。上半身が伸びていることを意識しましょう。
最後に【写真3】のように両手を床につき、上半身を安定させて、左足の膝を伸ばしてください。ハムストリングス(太もも裏の筋肉)が伸びていることを意識しましょう。
次に足の左右を入れ替え最初の動作からスタートします。この左右セットを3~5回ほど行えばOKです。
全部終えるのにかかる時間はわずか3分程度です。たったこれだけの運動で、あなたの全身をストレッチすることができ、健康増進にもつながるのです。毎日続ければ、必ず効果が実感できるはずです。
(本原稿は中村豊『世界最高のフィジカル・マネジメント』から一部を抜粋・編集して掲載しています)