錦織圭、マリア・シャラポワ、大坂なおみ、ネリー・コルダ……指導した数々の選手を世界トップレベルに導いてきたトレーナー界のカリスマ、中村豊。彼に指導を受けた選手たちは、アスリートとして大幅なステップアップを遂げています。
中村はトレーニングによってのみ身体能力が向上するわけではなく、必要なのは「トレーニング」「リカバリー」「栄養」の3つのメソッドだと語ります。そして、この3つを適切に行えば、一般の人でも身心が健全に整い、若さを持続できると主張するのです。その実践方法を分かりやすく具体的にまとめたのが、中村の初著書『世界最高のフィジカル・マネジメント』です。本連載では同書から「誰もが自宅で簡単にできるフィジカル・トレーニング」を紹介していきます。
自宅でできるトレーニングの王道といえばスクワットでしょう。スクワットは下半身のトレーニングですが、正しく行えば全身を鍛えることができます。今回はその最強の筋トレであるスクワットを、さらにレベルアップさせる方法を紹介します。
スクワットこそ「最強の筋トレ」である
スクワットは「キング・オブ・エキササイズ」と呼ばれ、どこでも気軽に出来るうえに、その筋トレ効果は絶大です。トップアスリートから一般の方まで、愛好者が多いトレーニング法です。
人間の筋肉の7割は下半身に集中しています。スクワットによって下半身の筋肉全体を鍛えることができます。特に太もも前の大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、太もも裏のハムストリングス、さらにお尻の筋肉である大臀筋(だいでんきん)を鍛えることができます。また骨盤周りの筋肉を鍛えることで姿勢を安定させ、筋力強化だけではなく、血流やリンパの流れを促し、冷えやむくみの改善も期待できるのです。
スクワットをワンランク上のエキササイズに変える
「ウォール・スクワット」
ここで紹介する壁を使ったウォール・スクワットは、通常のスクワットをワンラックアップさせたエキササイズです。筋肉を強化するだけでなく、筋肉の持久力もアップできます。多くのプロアスリートがルーティンのトレーニングとして、このウォール・スクワットを取り入れています。
スクワットは効果が高いトレーニング法ですが、正しいフォームで行わないと効果半減どころか、怪我を誘発する可能性があります。写真を参考にして、自分のフォームが正しいかどうかをしっかりチェックしてください。
まず【写真1】のように壁から30cmほど離れて立ちます。つま先はやや外向きで15度ほどに保ってください。
次いで【写真2】のようにベンチに腰掛ける感覚で腰を落としていきます。上半身は45度の角度で、太ももが床に対して平行になるぐらいまで深く曲げることができればベストです。膝関節はつま先より前に出ないように気をつけましょう。お尻が壁に軽く触れる状態だと深さを調整できます。
中臀筋(ちゅうでんきん)と呼ばれる股関節周辺の筋肉群が稼働しないと、膝が内向きになりかねません。それを防ぐには、【写真3】にあるようなエキササイズバンドを用いるなどして、膝を広げる意識を持つとよりトレーニング効果が期待できます。
(本原稿は中村豊『世界最高のフィジカル・マネジメント』から一部を抜粋・編集して掲載しています)