中国のある鉱業会社が世界のコバルト供給量の3分の1以上を支配下に置き、米国は入手ルートを絶たれかねないと危惧している。米当局者は、中国非鉄金属大手の洛陽欒川鉬業集団(チャイナ・モリブデン、CMOC)がコバルトを市場に氾濫させることで、他社のコバルト生産への投資を困難にしていると非難する。コバルトはジェット戦闘機や軍需品、無人機(ドローン)、電気自動車(EV)向け電池に使用される。「プレーヤーは新しいが、戦術は古い」。国際エネルギー政策を担当するホセ・フェルナンデス米国務次官はこう話す。「このような略奪行為は競争を損なうだけでなく」米国のエネルギー移行も危険にさらしていると指摘した。CMOCはコバルトの生産量増加について銅の生産拡大による副産物だと説明し(コバルトは銅と一緒に採掘される)、自分たちは責任を持って行動していると主張する。