和田:ここが大事なポイントなのですが、残念なことに、この前頭葉は脳のなかでも加齢とともに最も先に萎縮が進む場所なんですよ。
結局、前頭葉の機能が低下してくると、意欲が落ちてくる。その結果、足腰も使わなければ頭も使わない。身体は衰えて、ヨボヨボになるし、認知症にもなりやすくなる。
「いつも」のルーティンから離れた
想定外な行動をあえて起こしてみる
中尾:前頭葉には鍛え方などあるのでしょうか。
和田:前頭葉を鍛えるには、なるべく想定外なことをわざと自分に起こすんですね。前頭葉が衰えると想定外なことを避ける傾向にあります。行きつけの店しか行かなくなるとか、同じ著者の本しか読まなくなるとか。服装ひとつとっても、自分が黒が似合うと思ったら黒しか着なくなってしまう、とか。とかく冒険することを避けるようになってしまう。
中尾:人との接し方もそうですね。同じ人としか会わずに、新しい出会いを求めなくなる。
和田:おっしゃるとおりです。あるいは人と話していても意見が違うといやだという気持ちになってしまう。